00有マ記念前
"――そんなオペラオーさんですが、やはりライバルはドトウさんですか?"
"もちろん、ドトウはこんなにもボクに食らいつこうとしてくれる!素晴らしいシンデレラさ!"
私は、オペラオーちゃんが映るテレビ番組を見る。
現在7連勝中、今年は無敗。 今年最後の有マ記念を前に、インタビューの特番が組まれたみたいで。
――それに比べ、私は今年、一度も勝てていない。
そのため、インタビューには呼ばれず、こうして部屋でテレビを見ていることしか出来なかった。
インタビュアーにライバルとして挙げられたドトウちゃんも、同じようにインタビューを受けていた。
私の同室のポッケちゃんも現在無敗、ホープフルSを目指してトレーニングをしている。
彼女はトレーニングのため部屋におらず、部屋には現在私一人のみが居る。
――私だけが、菊花賞で立ち止まっているみたい。
皆はどんどん前に進んでいるのに、私だけ置いて行かれて――
――このまま、皆に忘れられちゃうかも、という気持ちが、頭をよぎる。
自信なんて、この1年でずいぶん零れ落ちてしまった。
どうすれば、オペラオーちゃんに勝てるのか。 そのことばかりを考えていて勝ちを狙ったステイヤーズSでさえ、敗れてしまった。
菊花賞までは、三強として期待されていたから頑張れた。 でも今は、オペラオーちゃんとドトウちゃんの二強だ。
もがいて、もがいて、それでも手が届かない。 私に期待してくれている人たちの気持ちを、ずっと踏みにじっている。
このままずっと勝てないかもと、そう思っていた時。
"――でも、"勝てない"と思ったウマ娘は他に居るよ"
ぴくり、と耳が反応する。
インタビュアーも、世間も、ライバルはドトウちゃんだと信じていて、他のウマ娘は誰も今のオペラオーちゃんに勝てる訳ないって思っているのに。
ドトウちゃん以外にも、オペラオーちゃんがそこまでの言葉を紡ぐウマ娘が居るなんて。
私には、全然思い浮かばなかった。
オペラオーちゃんにそこまで想ってもらえるウマ娘が居るなんて羨ましい、とどこか遠い世界のように考えていた。
――考えていた、のに。
"ナリタトップロードさん、彼女だよ。彼女にこそ、ボクは勝たねばならないんだ"
私は、声を失った。
どうして? オペラオーちゃんが? 私のことを?
今年は私と5回も走って、そのどれもで勝利しているのに、どうして私を?
"ナリタトップロードさんですか!? けれど、彼女には何度も勝っていますよね?"
インタビュアーさんも、私と同じような反応をしていて、質問を続けた。
私は、テレビを食い入るようにして、オペラオーちゃんの回答を待った。
"回数だけが勝利ではないよ。ボクはあの日、菊花賞のレースで。後塵を拝したことが彼女の強さなのさ"
オペラオーちゃんは、さらに言葉を続けた。
"ただの敗北であれば、そこから学んで次に生かせばいい。しかしその時は――
ボクの仕上がりは、最高潮だったんだよ"
インタビュアーさんも私と同じように、食い入るように彼女の話を聞いていた。
"その上、京都3000mは、シニア級に上がれば重賞レースには存在しない。リベンジの機会は、二度とないんだ。
……ボクは、彼女に勝てなかったあの日が、頭から離れないんだ"
……ずっと、私だけが、クラシックの三強の時代に取り残されていたと思っていた。
今や私だけが、オペラオーちゃんをライバルと思っていて、彼女は私のことなんて、なんとも思ってないんだと思っていた。
でも、そう思っていたのは、私だけじゃなかった。 オペラオーちゃんの中で、こんなに大きな存在でいられたなんて。
"今年、ここまで無敗でいられたのは、トップロードさんに負けたくない気持ちも強かったからさ。でなければ、GⅡでも勝つことは出来ないだろう?"
インタビューが続く中、私はジャージをひっつかんで部屋を飛び出し、コースへと向かっていた。
afterword
普段小説を書かないので、お見苦しい文章を失礼しました……。菊花賞のことをずっと煎じ続けているオタクです。
このように、短いあとがきを入れることは可能です。
また、小説全体にコピー禁止のためのドラッグ禁止を追加しています。翻訳がしづらく大変申し訳ございません……、
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作者:れみな/サイトやSNSのリンク